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入試を吹っ切る
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    都立高校の一般入試も明後日と迫り、東京の入試も大詰めになった。中3生は毎日授業と自習に余念がないが、試験日が迫るにつれて不安もいや増しに増している。毎年のことだが、生徒達の不安な顔を見ればこちらも平常心ではいられない。どんな方法でそうした不安を払拭していくのか、教科指導と同じくらい神経を使うものだ。

     

     

    入試直前の不安というのは一所懸命やっているからこそ生まれてしまうという因果なものだ。たかが高校入試とはいえ、勉強の終着点は容易に見えない。勉強の入口に立ち、容易に見えない出口に向かって歩きはじめた生徒は、歩けば歩くほど、その暗さと奥深さにおののく。やればやるほど、己の未熟さを自覚し、欠落感が増してしまう。直前期、やってもやっても「分からない感」「まだある感」は埋まらず焦るばかりになる。頑張っている受験生がこうした不安にさいなまれるとは、受験の神様はなんとも理不尽なものだ。

     

     

    入試直前の不安は焦り、そして本番での萎縮を生む。未知の問題(入試はすべて未知の問題!)に対して怖れが先行してしまい、ちょっと難しかったり出題形式が変わっていたりすると心が縮こまる。平常心を失ってしまうのだ。入試本番で一度失った平常心はなかなか元に戻らない。フワフワと地に足がつかないような感覚で試験が進行し、そのまま終わってしまう。「平常心を失うのは、本当の実力が身についていないから」―それは確かにそうなのだが、まだまだ未熟な中3生にメンタルも含めた盤石の実力を求めるのは酷というものだ。

     

     

    試験会場では一人の戦い。我々は手を貸すことはできない。できるのはそれまでに不安を和らげ、萎縮する心をほぐしてやることだ。教える立場の人間は、それこそ手を尽くしてそうした生徒達の心に寄り添う。

     

     

    曰く「勉強の不安は勉強でしか解消されない。ギリギリまで努力を重ねて不安を自分の力で払拭しよう」。―入試に向かう心得として、一つの真理だろう。不安を不安をして認識するより先に、行動=勉強する。不安が生まれたら、その不安の源を勉強で消していく。初めに書いたようにこれは出口の見えない戦いでもあるが、努力の蓄積は不安を自身に転化させる。

     

     

    曰く「入試直前は励ます関わりが第一。不安を理解し、不安に寄り添い、言葉をかけ続ける」。―これも直前期はとりわけ欠かせない態度だろう。教師による一言で救われる小さく不安な心がある。そのことを理解し、寄り添う態度と言葉は、我々の存在意義の1つでもある。直前期だからといって真綿でくるむような関わりは不要だが、不安をくみ取った適切な一言で、生徒達の視線を下から正面に向けることが、戦う眼にすることが、できる。

     

     

    週末、私は「吹っ切ろう」という話をした。吹っ切るとは1つのことがらにとらわれないということだ。生徒達には入試にとらわれすぎない態度を伝えるつもりで次のような話をした。

     

     

    「入試はみんなにとって人生の一大事。私もこれまでみんなに勉強の大切さを説くとき、『どの高校に行くかで人生のレールは異なる』なんて言ってきたよね。その意味では、高校入試は極めて重要・重大なできごとで、決していい加減な気持ちで臨んでいいものではない。

     

     

    でも、別の見方をすれば、入試なんてある意味大したものじゃない。たかが入試。そんな見方もできる。だって、たった50分×5=250分、4時間ちょっとなんて、80年の人生に比べたらほんのちっぽけなものだろ?おまけに1教科最大20〜25問のテストで、君たちの何が測れる?ほんのちょっと、ほんの一面しかテストは測れない。君たちの勇気も、やさしさも、入試は測れない。

     

     

    おまけに記号問題が多いだろ?イかウか迷って迷って、ウにしたらバツだった。おまけに、合格ラインからほんの数点低いだけで不合格になった。こんなことも起こる。もちろん逆のケースもある。それで取った点数が実力なの?実力の一面しか測れないのが入試でもあるわけだ。

     

     

    私が言いたいのは、ものごとには両面があること。そして入試前の今だからこそ、それを知ってほしいということ。入試の価値や尊さとともに、入試の一面性やはかなさを知ってほしい。入試の価値の両面を知った君たちは、入試からほんの少し自由になれるはずだ。入試に縛られ、入試にコントロールされ、本番で振り回される小さな存在ではなく、入試に自然体で立ち向かい、入試を乗りこなし、自分をぶつけられるようになるはずだ。

     

     

    入試を吹っ切ろう。完全には無理だけれど、吹っ切る姿勢は君たちを少なからず解放する。『たかが入試』という吹っ切れた精神で、本番に臨んでほしい」

     

     

    教える立場として決して祈りに任せるつもりはないのだが、それでもやはり祈るような気持ちをもって本番を待つ。

     

     

     

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