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隣の芝は青くない
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    連日自習に精を出す中3生数名が帰りしなに何やら話している。耳をそばだててみると「○○塾は△△(教材名)やってるよね?できる子が多いよね!」的な話。

     

     

    聞き捨てならない内容(笑)なので、「どうしたどうした」と強引に割って入りあれこれ聞いてみた。すると、どうもその塾では都立入試向けの教材をやっていて、自分たちもそれをやりたいということらしい。

     

     

    都立(公立)直前対策用の教材はそれこそたくさんあって、私も以前から使っている。今年は残り3週間で投入する予定を組み、生徒達にも「2月に入ったら仕上げの教材を配る」と伝えてあった。ただそれが都立直前対策用とは言ってなかったので、生徒達は「なんでウチの塾はやらないんだろう?あれやりたいよね?」となったようだ。

     

     

    「2月になったら配る予定だったぞ!心配するな!」で済ませることもできるが、この会話にはこの時期の中3生が陥りやすい穴が見え隠れする。そういうことを自覚させるのもも教科学習とは異なる重要な学びだと思うので、授業を使って生徒達全員に2つの話をした。

     

     

    1つは「隣の芝を見ない、気にしない・見ても青いと思わない」ということ(生徒達には「隣の芝は〜」の解説からした・笑)。受験期以前は他の塾やそこで勉強している友達のことはそう気にはならないが、受験期ともなると偏差値や受験校の話が話題に上るようになって意識せざるを得なくなる。とりわけ同じ志望校の友達が別の塾に通っていて偏差値が高かったりしたら心穏やかではいられない。「あっちの塾の指導(教材!)の方がいいんじゃないか?」と思うのはしごく当然だ(これは保護者の方にもあてはまる)。

     

     

    しかし、ちょっと考えてみれば分かるが、成績というのは極めて個別的な要素でできあがっている。仮に同じ問題を解いて同じ点数だったとしても、持っている力がまったく同じということはありえない。得意・不得意単元、思考の癖、速さ、記述力、ひらめきの有無…挙げたら切りがないくらい、成績を決める要素は多様だ。

     

     

    どの塾に通い、どの教材をやるというのは確かに重要ではある。しかし、入試直前まで勉強を重ねてきたらその影響はそれほど大きくない。思ったような成績が取れていないとしたら、教材ではないもっと別のところに要因がある。不安を抱くのは致し方ないが、それでキョロキョロしたら不安は増すばかりだ。最後まで自分の弱点に向き合い、克服の努力をしよう。まずそんな話をした。

     

     

    もう1点はちょっと細かい話になるが、生徒たちが気にしていた直前対策用教材というのは、使い方を気をつけないと最後のひと伸びにつながらない、ということ。都立入試に特化した直前対策教材というと聞こえはいいが、これだけやっていても実力の向上(弱点の補強)はできないということだ。具体的に言うと英語、数学は問題量が豊富で弱点補強まで意識できるものもあるが、国語、社会、理科はそれだけやっても弱点補強にはならないものが多い。

     

     

    直前教材は都立の出題形式に合わせた構成になっている。都立の問題は大ざっぱにいえば「読ませる形式」になっているので、こういう直前教材もその形式を踏襲している。だから直前教材は「形式慣れる」という意味では極めて有用だ。

    ただこの「読ませる形式」というのは結構曲者で、テキストにすると紙数をたくさんとるため問題量としては少なくなってしまう(問題量を増やせば直前対策教材とは言えない厚さとなる)。簡単に言えばこれが国語、社会、理科の直前教材が弱点補強にならないことの主な理由だ。

     

     

    重要なのは、生徒達が「できない理由」というのは形式にあるのではなく、むしろ形式以外の知識不足、理解不足にある方が圧倒的に多いということ。1つめに述べたように、できない理由は非常に個別的なのだ。だからこの時期の勉強は、過去問をやってあぶり出された弱点項目・単元を通年用テキストで手当てし、穴をふさいでいく努力が必要となる。

     

     

    しかし過去問演習は本当に時間がかかる。5教科分を解くだけで半日仕事、加えてそれのマルつけと復習(間違えた問題の理解、解き直し)までやれば1日では終わらない生徒もいる。これが6〜7年分だ。中堅層は週末をまるまる過去問に費やしても消化しきれなかったりする。

     

     

    すると過去問以外にできる勉強が少なくなり、やるとすれば直前対策教材、となる生徒が多くなる。ただし過去問と直前教材で形式には慣れるが、自身の弱点とは向き合いづらくなる。だからこれからの時期、過去問と形式に慣れるための直前教材に流されるような形で勉強を進め入試を迎える受験生は少なくない。

     

     

    繰り返すが、過去問をやったらできない単元の復習、具体的には「総ざらい」が必要だ。特に社会、理科は「暗記だからギリギリまで伸びる」と言われることが多いが、ここまで勉強を積んできてできないということはピンポイントで手当てしても駄目なわけで、単元全部をもう一度やり直すくらいの抜本対策が必要であることが多い。具体的には、例えば社会の歴史だと「勘合貿易」が何時代か分からないのなら外交史を、「奥の細道」が何文化か分からないなら文化史を、それぞれ始めから終わりまでやり直す必要がある。項目をチマチマ覚え直しても点数には結びつかない。

     

     

    私は直前教材は残り2〜3週間の時期にやらせるようにしている。年度によっては配らないこともある。やらせる生徒とやらせない生徒も分けたりする。直前教材はあくまで仕上げの位置づけであり、ワンオブゼムだ。せっかくの教材、効果的に使って最後のひと伸びにつなげたいし、一人ひとりにとって必要なことを見極め、そこに焦点化した指導をするのは個人塾の存在意義でもある。

     

     

    こんな話を聞かされた生徒達だが、配布された直前教材も含めて各々の課題に改めて向き合いはじめた。どれだけ自分を見つめ、問題設定をし、改善のために動けるか。受験も最終段階にさしかかっている。

     

     

     

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