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ほとばしる情熱 〜三上慎司先生来訪記 その3〜
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    三上先生の授業は言ってみれば極めてオーソドックス。授業技術を十二分に駆使し、生徒達に深い納得を与えることで定着を図るという、何のギミックもないものだった。ハッと驚かせる何かを授業で与えるより、静かに、しかし確実に理解を与える方が私は難しいと思う。三上先生は塾講師に力を入れすぎて本業がおろそかになった時期があると耳にしたが、その塾講師としての日々は、きっと優れた先達に導かれつつ、本道の塾講師修行を積んだ日々だったのだろう。先生もブログで書かれているが、初めて対する生徒達とあって学力差をちょっと測りかね、発問と応答が滞ってしまったり、授業スピードが若干遅くなったという点はあったが、生徒達が十分理解を深めることのできた授業だった(授業後の「反省会」ではもう1点、ホワイトボード見る時間が長いという点を指摘させてもらったが← えらそう)。


    私の当初のもくろみだった「理系の先生による数学授業の秘訣」の見極めだが、良い意味で肩すかしをくらったと言える。僭越だが、三上先生の授業の進め方と私の授業の進め方は、大枠で同じ方向を向いていた。私が数学の授業(入試問題解説)で重視しているのは「解答の指針」と「解答に至るまでのプロセスイメージ」だ。問題文を丁寧に読み、どのような方向性で問題に当たっていくのかをまず考える。そして、解きながら、解答に至るまでのプロセスを常にイメージしながら作業に当たっていく。もちろんそこには試行錯誤という要素が常に介在するが、スタートからやみくもに走り始めるのではなく自己との対話という空間を設置しながら問題に対していく。もちろん三上先生の授業はウチの中3生用にチューニングされたもの(標準レベル)であろうし、ハイパーレベルの受験生用の授業はまた異なるのであろうが、先生の授業を通して私の授業の方向性は間違ったものではないということに胸をなで下ろした。


    ここまで私は三上先生の授業技術についてあれこれ論評してきた。私の駄文でも十分お分かり頂けると思うが、それは学生講師のレベルをはるかに超越している。しかし三上先生はまだ学生。冒頭で書いたように、普通なら己の働く環境(現在は塾講師をされていないとのことだが)でそれを発揮し、磨けば十分と考えるのが普通だ。それを東京まで、自腹でやってくるというこの情熱。こういう情熱をもっている学生講師が、はたしてどれほどいるか。塾はブラック企業だ、報酬外の労働が常態化しているなどの暗い話が多いこの業界にあって、純粋な動機をもって講師業を極めようと思う若者の存在に、誰もが突き動かされるのではないだろうか。


    また、塾講師にとって重要なものに「印象」がある。授業がうまくても、情熱があっても、考え方が硬直していたり鼻持ちならない上から目線だったりすれば、その講師が与える印象は格段に低いものとなり、生徒の成績にも資するところは少ないと私は思っている。印象というのは内面からにじみ出てくるものであり、それはその人となりに拠るものであることは間違いない。「人間性」という使い古され手垢にまみれたものが、子供と対する我々塾講師にとっての芯にあることは、十二分に理解しておかなければならないと思う。


    三上先生は、対する人に好印象を与えるパーソナリティをも兼ね備えている。人なつっこく、柔らかで温かい雰囲気が自然と滲み出ている。出会った初めから、どこか私の教え子であったような錯覚に陥った。もともとおしゃべりな私だが、ベラベラと自身のことを話してしまうほど、三上先生には警戒心や緊張を解かせる空気感がある。有り体に言えば、「かわいげ(@もりもと先生)」に満ちているのだ。三上先生が近くに住んでいれば、私はきっと毎週末飲みに連れ回すだろう(笑)この日も授業終了後、焼き鳥〜bar〜ディープ下町探索と、さんざん連れ回してしまった。


    我々塾講師は孤独だ。生徒と対峙する時は1人。だれも手助けしてくれない。しかしその孤独は、孤立無援を意味しない。同じ方向を向いて歩く、見えない紐帯で結ばれた仲間が、そこかしこにいるという確信と実感が、今日も己を奮い立たせる。少なくとも私はそうだ。つるむのは好きではないが寂しがり屋という自分勝手な性格なので、いつも孤独を感じている。しかし直接声をかけられなくとも、奮闘している塾講師の存在が、弱い自分を勇気づけてくれる。


    学生の身でありながら、塾の見学のためだけに新幹線に乗ってはるばる東京までやってくる。こういう講師がいるということに、私は強く勇気づけられ、鼓舞された。私の所に来てくれたという事実だけではなく、そういう情熱が存在するということに。三上先生、本当にありがとうございました(終わり)。



     
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